防備録として記しておきます。
コスモス短歌会 『桟橋』111号詠み草
コップのなか
沈めても沈めてもまた浮いてくる海月のような氷と遊ぶ
透けて見ゆ明るきアイスティーの色グラスに眩し夏ちかづきぬ
透明の透明・透明・透明のグラスの向こうの色がまだ見ゆ
となりあうことを避けたれど聞こえくる女のお喋りたえることなし
レントゲン写真のなかの骨のごと透けて並べるコップの氷
弓なりの檸檬をさらに撓むれば汁と香気をパッと放てり
とけかけたこおりのまるみを愛しみコップのなかを覗き込みおり
空気らが冷却されて水になる自然のめぐり卓上にあり
明るめるアイスティーの後にみるアイスコーヒー冥き夜のごと
ポーションを垂らせばゆるゆる沈みゆくさまよく見えるアイスコーヒー
行きつけの歯医者の治療ながきこと二時間ばかり喋りたる女(ひと)
わたくしは連れならぬゆえ立ち去れり喋りつづける女(ひと)を残して
*今年、平成24年より「桟橋」に入会させていただいた。
平成22年10月のコスモス短歌会:軽井沢フォーラムで奥村さん、大松さんとご一緒した折に
大松さんから桟橋誌を頂いたことがきっかけ。
一年購読させていただき、昨年の12月のコスモス出版記念会後期(これもフォーラムに参加したことがきっかけで参加してみようと思い、平成22年12月より参加。)に奥村さん、大松さんにご相談したうえで入会の意思を伝える。
桟橋の会は5月の110号から出席。
111号からの出詠。
・物ばかり詠まれている、つくりが荒い、伝えたい思いはわかる
・連作にしないほうがいい
・どういう場面なのかわかるようなのがあるといい
・氷の歌はおもしろい
などのご意見をいただく。
題詠
「一」を三回詠む
一人過ぎまた一人過ぎ二人過ぎ一人過ぎゆく皇居ランナー
短歌研究9月号
短歌研究新人賞予選通過作として
さみしいと打てば次からさみしいと予測変換される さみしい
折々に澱(おり)浮き上がるわれなれば清酒のごとく澄みゆくを待つ
東日本大震災文化財修復等支援事業
平城京跡短歌大会
選 高野公彦 吉川宏志
南天の艶やかな実を旨そうとわたしのなかの小鳥が欲す
柴犬は何度も何度も振り返り主人(あるじ)の歩みと笑みを観ている
束ね(つかね)たる畑の小菊ふくらみてなお奔放な勢いを見す