*月下  桜 の 世界*



カテゴリ:*短歌の世界*( 228 )


コスモス短歌会 『桟橋』 115号詠み草など

忘備録として既に発表している短歌をしるしておきます。
おめだるいことですがご了承くださいませ。

コスモス短歌会 『桟橋』 115 号詠み草



    『実 家』


四本の電車乗り継ぎその前後バスにも乗りて実家へ向かう

ただいまと実家の前で言うことにためらいをもつ吾にありたり

ドーナツをみながら納豆食べようという父である摩訶不思議なり

多様な葉交じれる中の三つ葉のみ父の摘みきてお浸しにする

買うことを躊躇い買わぬ果物を実家にいるときふんだんに食む

お風呂にもローテーションがあるらしく今日は一番、二番と言いあう

両親の解きえぬパズルをするすると目の前で解くことの哀しも

背後より眺めて居ればうたた寝をしている父が椅子から落ちそう

海外のミステリー見て筋書きが分からんかったと言いあう父母

看取るべき親を亡くしし両親は夜中に平気で爪を摘みたり

真夜中にモーツァルトのメヌエット厨に響きポットの湯が沸く

朝七時ひとの気配に目を覚ます 半年ぶりかこの感覚は


*題詠  架空の地名を詠む

 過去世ではムー大陸の巫女という占いさえも信じてしまう


*アンケート 最近あったちょっとこわいこと

 玄関に父が帰ってきた気配がして「おかえり」と顔を出すと誰もいない。
 ということが、一度ならず度々あること。




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by tsukisitau | 2013-09-16 21:14 | *短歌の世界*

コスモス短歌会『桟橋』 114号詠み草など

忘備録として既に発表している短歌をしるしておきます。
おめだるいことですがご了承くださいませ。


コスモス短歌会 『桟橋』 114 号詠み草


  『遊歩道』

暖かき日に誘われていざゆかん歩いて五分の烏原貯水池

ほほほほほ ほほほほけよと鶯のさえずり不意に近くよりする

ジョギングで過ぎゆく人に啼き止まずゆっくり歩む吾に啼きやむ

〈人〉という歩く木ならん山中のかそけき葉擦れの音に聴きいる

雀らの囀る声の賑わいに顔をいだせばふいに静まる

ごめんねと呟いて去るわたくしは雀になれぬにんげんである

水流にあらがわずして一方(ひとかた)に向きを揃える落椿たち

ずいぶんと遠くにおりぬ吾がこころ花をみれどもおもうことなし

何ひとつ揺るがすことのできなくて椿は〈つばき〉のままに咲きいる

どうしようもないさみしさにあてどなく通ったことなき道ばかり行く

あすからは雨が激しく降るという天気予報のことばを信ず

しびしびと冷たい雨の降る朝は小鳥の声の聞こえない朝



題詠  字足らずの歌

  水底(みなそこ)に沈みし村の供花のごと淵に浮かめる藪椿


アンケート  もし男(女)だったらどんな名前がいい?

見て美しく、口頭でも説明しやすい名前(かつ説明するたびに恥ずかしくならない文字)。
男性は同じ音でも漢字がいろいろあるから大変そう。



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by tsukisitau | 2013-09-08 17:45 | *短歌の世界*

コスモス短歌会『桟橋』 113号詠み草など

忘備録として既に発表している短歌をしるしておきます。
おめだるいことですがご了承くださいませ。


 コスモス短歌会『桟橋』  113号詠み草


   『冬 景』

雪遊びしてきたように花びらの先のみ朱(あけ)に染むる寒菊

数かぞえ円座している十三人わっと散らばる流星群に

猛禽に見定められし小禽のごと身をかわし逃げる少年

白き腹みせてこおこお啼きながら空をめぐれる飛行機一機

誰の手も触れえぬところに水鳥のぽかりぽかりと浮かぶ淀川

四面のテニスコートに四脚の審判の椅子西に向きたり

切り株は団栗載せて花添えて来客を待つ冬の日溜まり

ほんとうに美味しいものは正座して黙して口に運ぶのみなり

白子とはどこの部位かと尋ねくる隣の男の声の無邪気さ

徳利が風呂に入っているような枡に入って熱燗がくる

湯上がりの少しのぼせた徳利の真白き肌を拭く豆絞り

薄紅と儚き白を散り敷きて夜雨に濡るる一本(ひともと)の梅


*題詠 「日本人」

 二十年ぶりに訪ねし奈良なれば外つ国のひとに遅れて眺む


*アンケート
2013年に必ずやりたいこと

 生き切る。


*裏庭* (後扉の小言)

中高生のころ、家族旅行の旅先から河原
や海辺の石をもちかえり、神社に参拝す
れば素焼きの土鈴を自身の土産にするの
が常だった。結婚してのち、石たちは神
社におさめ、土鈴もほとんど処分してし
まったが、宮先生の書斎の書架に各地の
石がならんでいる写真を全国大会で拝見
し、はからずも思い出したことである。




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by tsukisitau | 2013-09-07 18:34 | *短歌の世界*

コスモス短歌会『桟橋』 112号詠み草など

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コスモス短歌会『桟橋』  112号詠み草


    『清 書』

漢字典・国語辞典とも開きつつ原稿用紙に文字を埋めゆく

縦書きの手書きに未だ感覚を失ったままの吾の右腕

あんなにも原稿用紙に書きし頃吾にも在りしが何方(いずかた)へ消ゆ

詠み草を原稿用紙に書きはじめ何かちがうと手直しをする

詠み草を原稿用紙に書きはじめ五首めで大いに書き損じたり

書きながら漢字の形飛散して飛ぶという文字飛んで去(い)にたり

書くまえに漢字典にてひきなおすたとえば雀それと囀り

辞典ひく時には誘惑多きこと開いた頁の文字を読み居る

調べたき文字を忘れて辞典読む束の間の時にこころ憩いぬ

なんという漢字やったか開き見し面白き文字を忘れてしまいぬ

書きあげてみれば拙き吾が文字よ原稿用紙にほつほつとある

漢字典、国語辞典とも閉じたれば紅白をもて祝福されり



題詠
「小現実」を詠み込む

 花咲かば茄子は必ず実りたる小現実を歌に為さばや


アンケート
締切が迫るとしてしまうこと

過去4年分の作りかけの詠草を読み返す。あまりのヘボさにめげて
散歩に出かける。



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by tsukisitau | 2013-09-05 20:45 | *短歌の世界*

「コスモス」2012年10月号内書評 『今日から歌人!』江戸雪 著

「コスモス」誌のなかに、「気になるホン・ほん・本」という書評コーナーがあり、初めて書評なるものを書かせていただきました。(推敲していただきました)


江戸雪著
『今日から歌人!』
 (すばる舎リンケージ)

 カバーには〈誰でも画期的に短歌がよめる 楽しめる本〉という小書きのある。
 第一部 「言葉に敏感になる」の章では、著者の短歌に対する厳しい姿勢が明確にされている。つまり、短歌は自己を照らし出す言葉の微光である、言葉によって描いた世界と現実とは同じになることはない、というところなどだ。さらに、何をどう短歌にしても今生きている自分の姿が透けてしまう、そのことを覚悟して作るのが歌だ、ともいうのだ。
 第二部 「短歌の技法を知る」では、海・雲から車道・勝ち負けなど、独自の多様なテーマで現代短歌を鑑賞しつつ、そこで使われている技法について、細かく実例にそった解説がなされる著者の鑑賞に引き込まれつつ歌の楽しみ方を学べる。
 短歌を忘れている時間をいかに濃密に生きるかが短歌を作るために大切だ、という著者のことばに、歌人としての目指すべきあり方を窺うことのできる。単なる入門書でなく、歌人・江戸雪の心からの声が聞こえてくる一冊である。



*歌人ってなんだろう、とつねづね思っていたことですが、その後も「歌人」ってなんだろう、と何度も考えてしまいます。
歌を数首詠めば歌人、ではないし、歌集を出したから歌人、でもない。
歌壇で認められたら歌人か、選者になれば歌人か?
歌で生活している人が歌人だとしたら、ほとんどいないんじゃないだろうか。

今は、自分の歌を詠むだけでは事足りず、人の歌の評をしたり、評論を書いたり、対談をしたり、エッセイを書いたりとなんやかんやこなさないといけないようで、そういうマルチプレイヤーを歌人というならば、なんだか歌人から遠ざかっているような気もします。

作家と歌人はどうしてこんなに隔たりがあるのだろう。。。

生活のなかで、歌を詠まずにいられない人が歌人?
だとしたら、きっとわたしは歌人なんだろう。



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by tsukisitau | 2013-09-05 20:37 | *短歌の世界*

さやえんどうの歌 「コスモス」2012年11月号

「コスモス」2012年11月号の「9月号の10首(あすなろ集・その二集)」のコーナーに取り上げていただきました。

 抽出・総評は才野 洋さん、指名者評は高野 公彦さんです。


   さやえんどう色した椅子が真四角に一粒一粒並んでおりぬ


 さやえんどう色した椅子が一つ一つ整然と並び、真四角になっている、と歌っている。
 例えば幼稚園の教室とか、あるいはもう少し大きいホールで、さやえんどう色の椅子がたくさん並び、
 上から見ると真四角に見える、そんな風景か。幾何学的だが柔らかい不思議な景。(高野 公彦)


 
 総合病院の待合ロビーは長椅子が多い。場所によっては背もたれもない。
 ある一角の六つほどの椅子たちは背もたれも肘掛もある一人用の椅子たちで、
 爽やかなグリーンピース色だった。
 「ひとり分」を確保してくれる椅子が数脚あることがひとりで待つ私のこころを守ってくれた。(月下 桜)



 「緑」とは言わず「さやえんどう色」と言ったことで「サヤエンドウのような椅子」とまで連想が広がる。
 例えば、豆が莢の中にきちんと収まっているように、きちんと並べられた椅子であるとか。
 そしてまた、この初夏の味覚を味わう爽快感に似た感覚をもたらしてくれる椅子であるとか。
 ただ一首のなかに、そのような主観的感覚を表す言葉があればもっと良かったと思われる。(才野 洋)



*詠んだ歌がどのように伝わっているのかを伺う機会はとても少なく、貴重な体験でした。
 ありがとうございます。


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by tsukisitau | 2013-09-05 20:21 | *短歌の世界*

「コスモス短歌会」 2012年1月~12月 自作短歌

忘備録として既に発表している短歌をしるしておきます。
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2012年(平成24年) 

1月号 杜沢 光一郎選

両腕を思いきりとおくへ伸ばしたら抱きしめられるような青空

振り向けば君もおなじく両腕をぐうんと伸ばせり秋空のもと

なぁんにもしなくったって気持ちいい空を見上げてあはあは笑う


2月号 武田 弘之選

一反の経糸(たていと)三千八百本ふたりがかりで一日かかる

膨大な経糸にまた糸かける綾なすために三本ごとに

「糸の張りに合わせて織る」とのたまえる北村の織りは祈りのかたち

文様が変化してゆく幾何学の花から丸へ丸から波へ



3月号 特選『B席』 狩野 一男選

神戸では雨の上がれる朝なれど一時間後の東京は雨

地下鉄の終着駅は三階で狐につままれたままの渋谷駅

「まだやで」と乙女が言いぬ神戸行きスカイマークの117便

B席は東京タワーと東京にさよなら、またねと言うための席

呼応するこだまのごとく響きあう鼓のポートタワー ただいま



4月号 特選『群鳩』 桑原 正紀選

旋回する鳩の群れありて革命のエチュードのごと不意に降りくる

雷雲の色纏う鳩が降りてきて喉ふくらませひとしきり啼く

公園の鳩の群雲うごめきて近づきにけり吾の足元

土砂(つちすな)にさざなみあると見えければ数多残れる鳩の足跡

黄緑のバックネットの菱形にすぽりすぽりと雀がはいる

鴨川に鴨おらずして白鷺の十五羽ほどが佇んでおり



5月号 特選『雪の標本』 狩野 一男選

薄氷(うすらい)の紋様妖しく艷めきて人差し指で触れてしまいぬ

南極の底にねむっているというむかしむかしの雪の標本

順位より「腰きついやろ」と心配すスピードスケート観てるおばちゃん

身を低くかがめたるまま滑りゆくスケート選手の表情みえず

スキー靴脱ぎたる後もしばらくは履いたままだと脚錯覚す

そういえばありんこ見ない日の続き気づかぬまに冬深まりぬ



6月号 特選『野菜のこえ』 奥村 晃作選

白菜の種知らずして白菜をはりりはりりと剥がしゆくなり

白菜の採られし後(のち)も生きていて芯より葉っぱうまれつづける

蕪の葉をざくりと切れば如月の雪のした萌えさみどりの見ゆ

刻むとき野菜のこえの聞こえぬを大いなるものの計らいとせん

浅葱(あさつき)の黄緑緑深緑 椀に落とせばぱっと散るなり



7月号 特選『傘』 津金 規雄選

旅先の最終日にはいつも雨 黒き雨傘また二本増ゆ

雨傘の歌詠みおれば「あまがさき」不意に車掌の声の降り来る

低き傘二つ歩けばその後ろ明るき傘がひとつ歩めり

黒き傘二つならんで昼時のサラリーマンの背広が揺れる

雨しげく降れる日なれば雨の歌ばかりを流すファミレスに居る



8月号 木畑 紀子選 (その2三圏)

機嫌よく過ごしいるらしメールには笑顔の顔文字ひとつ添えられ

ファミレスで歴史小説二冊読む吾のほかにはファミリーばかり

たぶん二泊三日くらいになるかなと玄関で告げる君のやさしさ



9月号 田宮 朋子選

さやえんどう色した椅子が真四角に一粒一粒並んでおりぬ

大型犬吼えるごとくに白髪のサラリーマンのくしゃみ響きぬ

われ思案しつつ歩めば「とりあえず」若き男の応え降りくる



10月号 特選『蛇の坂道』 小島 ゆかり選

朽ち縄というより伸びた自転車のチューブのかたちに横たわる蛇

坂道をのぼりゆく猫振り向いて歩きこし道確かめている

むくむくと影動き出し黒き犬ベンチに座る主人へと寄る

二時間の後にも同じ場所でみる散歩途中の犬とおじさん

残像のへばりついている辺り避けつつのぼる蛇の坂道



11月号 特選『靴下たち』  大松 達知選

真っ暗な洗濯槽から真っ黒な靴下たちを掴みだしたり

あかるみに出でたる黒き靴下が鰻のごとく籠に重なる

一尾づつ品定めする 漆黒の靴下たちは微妙にちがう

君の手がスマートフォンに触れるたびスマートフォンを叩き壊したし

くちびるはスマートフォンに代われないわずかなれども優越感もつ



12月号 特選『快速電車』  田宮 朋子選

雷と思えどなかなか近づかず雨雲をゆく飛行機の音

電車での通勤やめたからだろう一段飛ばしで駆け上がれない

超えてきし神崎川をまた越えて京都に向かう快速電車

満員の電車の行く先くるくるとまわって表示は「回送」となる

立ち止まることなき少女の群れのなか吾はひとりで立ち尽くしたり




*同年1月より 『桟橋』に入会させていただきました。
 12首詠、添削なしです。
 批評会(10時から17時までみっしり)に参加したら、自分の歌の批評も伺えます。
 (もちろん、ほかのかたの歌の批評も指名されます。。。)
 ほかの方の批評を伺っているのも、ものすごく勉強になります。

*2012年は8回も特選に選んでいただきました。しかも6首採っていただいた月もあり、
 ありがたいことです。
 提出歌に添削が入って掲載されていることもあり、手元の原稿と見比べるのも非常に勉強になります。
 連想・類想の歌は、ともすればごっそり落ちてしまうことも判明。
 選歌と配列の重要性を感じます。
 
 
*さやえんどうの歌はのちに自解も発表。高野公彦さんの読みも併せて。


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by tsukisitau | 2013-09-05 19:55 | *短歌の世界*

虹色短歌投稿詠み草 18回~24回

防備録として記しておきます。

エブリスタというページに小島なおさんのエッセイと虹色短歌というコーナーがあります。
そこに提出したものです。
未発表作に限らないとのことなので、
*印はコスモス短歌会で採用された詠み草を提出しています。


「画」第18回

手のはえた鯰の顔が真面目すぎ子供らよりもあはあは笑う

ルノアールの乙女の頬の色をもつ夕暮れの雲輝きにけり



第19回「歳」

*三度来てやっと入店叶いたりカウンターのみの近所の寿司屋

*如月に「尾瀬の雪解け」、下仁田葱喰いつつちびちび盃を重ねる

*白髪(はくはつ)の翁・媼が笑みあってマンゴーパルフェをわけっこしてる



第20回「椿」

下町の椿はどこか人に似て家の門(かど)にて語り掛けくる

蝋梅を見んと出かけし公園の椿に見惚れ初志を忘れる

子どもの手踏んでしまいし感触につい謝りぬ 落ち椿らに (採用)

白椿ふくらふくらみ桃色のちろりと舌を出して笑いぬ


選んでいただきました。

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子どもの手踏んでしまいし感触につい謝りぬ 落ち椿らに
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月下 桜さんの作品。

落ちた椿を踏んだ感触が、子供の手を踏んだ感触に似ているという、感覚の優れた作品です。

椿というのは、花びらが散るのではなく、花がまるごとぼとっと落ちますので、たとえ足の裏でも、重なる花びらの質感まで十分感じることができます。

結句の「落ち椿らに」という部分、口にするときやや詰まるので、以下のようにすると自然な流れになります。

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子どもの手踏んでしまいし感触に落ちし椿につい謝りぬ
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第21回「火」


サイフォンの下にゆれたるアルコールランプのほのおをぼんやりみており

煎餅を焼くかのように手のひらをひっくりかえす焚き火囲みて

しんしんと凍てる町家に炭つげば火箸より熾(おき)に降れる粉雪

ゆるゆると描かれてゆく大の字を見つつ思うことのあれこれ



第22回「桜」

*レジ袋左右に提げたおっちゃんが枝垂桜の下にたたずむ

*このまんま桜になってしまいたい そうして貴方を包んでいたい

またきっときてくださいねというごとく枝垂れ桜は指にふれたり

音もなく散るはなびらは地に着けばさらさらと鳴る吾の足元に


第23回 「光」

*朝起きて光を浴びて目を閉じる 宇宙のなかに今生まれたの

*線路脇黄花コスモス揺れ眩し扉付近に立ってる理由

*赤としかいいようのない赤に咲くゼラニウム眩し梅雨晴れの園

曇天の朝にも東に手を合わせ頭を垂れる媼おりたり



第24回  「動物」

*猫なりに気をつかいつつ生きている 砂浴びの順を伏せ待つ黒猫

*なにゆえにいきているのか考えるふうな顔して猫 糞をひる

*縞リスを飼ってもいいかと立ち止まる君の不在の日曜の午後

*足元に纏わりつきし犬たちのリードは絡みて一本となる

*意地を張り地面に伏せし犬かかえ少女は歩く夕暮の町
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by tsukisitau | 2012-09-02 22:57 | *短歌の世界*

コスモス短歌会 『桟橋』111号詠み草・そのほか。

防備録として記しておきます。


コスモス短歌会 『桟橋』111号詠み草



コップのなか



沈めても沈めてもまた浮いてくる海月のような氷と遊ぶ

透けて見ゆ明るきアイスティーの色グラスに眩し夏ちかづきぬ

透明の透明・透明・透明のグラスの向こうの色がまだ見ゆ

となりあうことを避けたれど聞こえくる女のお喋りたえることなし

レントゲン写真のなかの骨のごと透けて並べるコップの氷

弓なりの檸檬をさらに撓むれば汁と香気をパッと放てり

とけかけたこおりのまるみを愛しみコップのなかを覗き込みおり

空気らが冷却されて水になる自然のめぐり卓上にあり

明るめるアイスティーの後にみるアイスコーヒー冥き夜のごと

ポーションを垂らせばゆるゆる沈みゆくさまよく見えるアイスコーヒー

行きつけの歯医者の治療ながきこと二時間ばかり喋りたる女(ひと)

わたくしは連れならぬゆえ立ち去れり喋りつづける女(ひと)を残して


*今年、平成24年より「桟橋」に入会させていただいた。
平成22年10月のコスモス短歌会:軽井沢フォーラムで奥村さん、大松さんとご一緒した折に
大松さんから桟橋誌を頂いたことがきっかけ。
一年購読させていただき、昨年の12月のコスモス出版記念会後期(これもフォーラムに参加したことがきっかけで参加してみようと思い、平成22年12月より参加。)に奥村さん、大松さんにご相談したうえで入会の意思を伝える。
桟橋の会は5月の110号から出席。
111号からの出詠。

・物ばかり詠まれている、つくりが荒い、伝えたい思いはわかる
・連作にしないほうがいい
・どういう場面なのかわかるようなのがあるといい
・氷の歌はおもしろい
などのご意見をいただく。



題詠
「一」を三回詠む

一人過ぎまた一人過ぎ二人過ぎ一人過ぎゆく皇居ランナー



短歌研究9月号

短歌研究新人賞予選通過作として

さみしいと打てば次からさみしいと予測変換される さみしい

折々に澱(おり)浮き上がるわれなれば清酒のごとく澄みゆくを待つ



東日本大震災文化財修復等支援事業
平城京跡短歌大会
選 高野公彦 吉川宏志


南天の艶やかな実を旨そうとわたしのなかの小鳥が欲す

柴犬は何度も何度も振り返り主人(あるじ)の歩みと笑みを観ている

束ね(つかね)たる畑の小菊ふくらみてなお奔放な勢いを見す
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by tsukisitau | 2012-09-02 22:50 | *短歌の世界*

「コスモス短歌会」 2011年 1~12月号 自作短歌

忘備録として既に発表している短歌をしるしておきます。
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2011年(平成23年)

1月号 杜沢 光一郎選

朝の道にかさりかさりと音たてて落葉の散りて冬近づきぬ

昨年は蚊に足首をさされしと思いいだせり寺の曼珠沙華(今月の5首入選)

曼珠沙華燃えつきはてて忘れられしころにみどりの細き葉のばせり


2月号 武田 弘之選

赤い実が転がっている なんだろう 見上げれば あれ 樅の木がある

渓流の音、黄と緑の葉、鳥の声わたしもここにいてもいいかな

落ち葉らと土をくぐった水だから山の精ある旨き水なり


*新鋭特集*

『自転車をこぐ』

よーいどん走る飛行機翼揺れかぞえはじめて5秒後に浮く

淡路島明石の沖がみえてから右に旋回東京へ向く

高度下げ三層の雲ぬけきれば富士山がいたこっちをみてる

どの道もおそろしく似て振り返る しんと静まる旧軽井沢

籠つきの自転車はよし荷物のせ地図をものせて軽快にこぐ

日に透ける様々な葉がうれしくて立ち止まって観るこころゆくまで

紅葉があまりに見事だったから立ち寄ったんだ「ハルニレテラス」


3月号 宮里 信輝選

朝早く京都につくという友にまず嵐山へゆけと知らせる

引きはじめぐんとからだを傾けてじわじわ動く人力車かな

庭石のひとつひとつは選ばれし石ばかりなり靴脱石も

羽根がやや後ろについているらしく飛ぶ姿にて鴨だとわかる


4月号 特選『ましろのそら』 小島 ゆかり選

着ぶくれてランドセル負い階段を昇るすがたは宇宙飛行士(アストロノート)

冬枯れの枝の高みに自転車のチェーンロックが結わえてありぬ

円陣を組んで置かるる荷物あり子らもとなりで円陣をくむ

朱(あけ)に染む樹に椋鳥らとまりおれば蕾にみゆるふくらふくらの

ひし(、、傍点)という音が降りくる早朝のましろのそらの欅を仰ぐ

雪片のようなことばはふはふはと吐息ですでに消えてしまいぬ



5月号 特選『無骨な手から』 森重 香代子選

三度来てやっと入店叶いたりカウンターのみの近所の寿司屋

工作をしているような一心の無骨な手からかわいい寿司が

如月に「尾瀬の雪解け」、下仁田葱喰いつつちびちび盃を重ねる

オパールの輝きをもつ「のれそれ」を箸の先にて鑑賞したり

器から覗かれているわたしかも黒目白目がわかる「のれそれ」



6月号 高野 公彦選

珈琲を飲みおえたあとのおしゃべりがはるかに長い女性ふたりは

向かいにはいまきみがいるきみがいる偶然ではない奇跡よ奇跡

いい歌をいま君おもいついたのね 軽く笑みつつ携帯をうつ


7月号 岡崎 康行選

猪の牙のような筍が数字書かれて市場に並ぶ

地図のごといりくんでいる生姜らが数字書かれて市場に並ぶ

ひさびさに寄った市場の喫茶店「オーレですね?」と先にいわれる

袋ふたつ左右に提げたおっちゃんが枝垂桜の下にたたずむ


8月号 影山 一男選

東京で激震にあい歌詠めず一月たって溢れだしたり

震災のことには触れず歌を詠むことさえ哀しとおもう一月(ひとつき)

哀しみのことばの津波押し寄せてさらってゆきぬ吾のことばを



9月号 狩野 一男選

真っ黒な蛙はいまだ見ざれどもおたまじゃくしは漆黒である(今月の5首入選)

赤としかいいようのない赤に咲くゼラニウム眩し梅雨晴れの園

雨蛙、きらいと言い切るいもうとも幼い頃には触っておりき



10月号 桑原 正紀選

横転し片足頭の上にある猫のポーズで小学生まろぶ

ありえない猫のポーズで転んでる小学生は縺れをほどく

頬撫でるほかは何もせず立ち上がり歩き出したり小学生は



11月号 森重 香代子選

嫌がらせみたいに冷たい冷房がない夏はいい節電の夏

白髪(はくはつ)の翁・媼が笑みあってマンゴーパルフェをわけっこしてる

木星の色したアイスコーヒーをぐるぐるぐるぐるぐるぐるまわす



12月号 宮里 信輝選

八百屋にてすだちをもとめ魚屋で秋刀魚もとむる秋の夕暮れ

美しき海老は茹でずに見ていたし銀のボウルに水など張りて

松茸の傘ひらかぬは薪のごと武骨に笊の上に並びぬ

蛤も栄螺も数日飼いたしよ日永一日眺めて居りたし



*2月号と新鋭(なぜか新鋭)特集は2010年秋の軽井沢フォーラムの前後の時の歌。
 奥村晃作さん・大松達知さん・宮英子さんを講師に歌を詠むうえでの大事なことを教わった。

 特選に二回入り、しかも『ましろのそら』は6首も採っていただけて嬉しい限り。

 
*11月号のマンゴーパルフェの歌は2012年1月号宇宙花(作品抄)に採っていただき、
 城戸真紀さんより「翁・媼とマンゴーのミスマッチが面白い。白髪とマンゴーの色の対比も絶妙」との評をいただく。
 

*「コスモス短歌会」は10首提出(義務ではないけれど)のうち、3~4首、
 地域とクラスのグループのなかでよければ(今月の5首)に一首入選します。
 さらに推薦されればタイトルを付けていただき、COSMOS集(特選)に5~6首入選します。

 毎回どの選者のかたも丁寧にみてくださっていて、多少のお手入れもしていただいたうえで載っていることもあるので、
 毎回提出原稿の控えと照らし合わせつつ勉強できるのが大変ありがたいです。
 また巻末にも選をしているときにきづかれたこと、共通の注意点なども毎号あって、それも大変勉強になります。

 提出月から三箇月後の号に掲載されます。
 (5月22日に締切の歌が8月号に掲載されます)
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by tsukisitau | 2012-05-25 21:52 | *短歌の世界*


心惹かれた素敵なものたちを一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。
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