*月下  桜 の 世界*



舞台でおこっていること  *浦田追善能*

先月みてきた能のことの覚えがきです。


浦田追善能
故・浦田保利三回忌 浦田追善能
2011(平成23)年1月30日(日)      11時半 開演  
京都観世会館               京都市左京区岡崎円勝寺町44 TEL.075-771-6114


仕舞「小鍛冶 キリ」    浦田親良
 地謡:浦田保親・大江泰正・大江広祐

能「砧」
 シテ:浦田保浩 ツレ:深野貴彦
 ワキ:福王茂十郎 ワキツレ:是川正彦 アイ:茂山七五三
 笛:光田洋一 小鼓:大倉源次郎 大鼓:河村大
 後見:観世清和・大江又三郎・井上裕久
 地謡:藤井徳三・小野朗・橋本雅夫・青木道喜・山本博通・吉井基晴・味方玄・宮本茂樹

仕舞
 「道明寺」    藤井完治
 「通盛」     上野朝義
 「松風」     梅田邦久
 「阿漕」     林喜右衛門
  地謡:山本章弘・上田公威・大西礼久・大江信行

舞囃子「卒都婆小町」   片山幽雪
 笛:野口傳之輔 小鼓:曽和正博 大鼓:石井喜彦
 地謡:片山九郎右衛門・河村和重・上田拓司・片山伸吾・武富康之

狂言「二千石」    茂山千之丞 茂山あきら

仕舞
 「松虫 キリ」   上田貴弘
 「鐘之段」     大西智久
 「求塚」       大槻文蔵
 「融」        観世芳伸
  地謡:杉浦豊彦・深野新次郎・越賀隆之・宮本茂樹

舞囃子「葛城 大和舞」  観世清和
 笛:杉市和 小鼓:曽和博朗 大鼓:山本孝 太鼓:前川光範
 地謡:藤井完治・山本章弘・上田公威・吉井基晴・林宗一郎

連吟「祐善」     茂山千作 茂山千五郎

仕舞
 「雨月 中入前」  藤井徳三
 「当麻」      杉浦元三郎
 「柏崎 道行」   大江又三郎
 「山姥 キリ」   山階彌右衛門
  地謡:井上裕久・赤松禎英・上田大介・深野貴彦

舞囃子「三山」    観世銕之丞 片山九郎右衛門
 笛:野口傳之輔 小鼓:曽和正博 大鼓:河村大
 地謡:梅田邦久・青木道喜・山本博通・味方玄・大江広祐

能「道成寺 赤頭・中之段数躙・無躙之崩」
 シテ:浦田保親
 ワキ:福王和幸 ワキツレ:喜多雅人・福王知登 アイ:茂山千三郎・茂山正邦
 笛:杉市和 小鼓:曽和尚靖 大鼓:山本哲也 太鼓:前川光長
 後見:大槻文蔵・杉浦豊彦・深野新次郎
 地謡:林喜右衛門・上野朝義・河村和重・赤松禎英・越賀隆之・片山伸吾・大西礼久・武富康之
 鐘後見:上田貴弘・上田大介・大江信行・上田拓司・大江泰正
 狂言後見:茂山茂・丸石やすし・茂山逸平・島田洋海

追加


※入場料  S(1階正面指定)15,000円 A(1階自由)12,000円 B(2階自由)6,000円 学生席(2階)4,000円
※問合せ  京都観世会館 075-771-6114

*出演者の交代・演目の変更などあり*


A席を電話で予約して、10時半に会場へ。すでに空いており、席を確保。
すでによさげな席は荷物がおかれ、席をとられている。
今回は横からみてみようとおもい、いちばんみよげな場所は補助椅子だったが
ダウンコートを座布団がわりにしてみることにした。

「小鍛冶 キリ」は稲荷のうごき。お孫さんにあたるのかな。
ぴょんととんだりはねたりして謡とよくあっていた。

「砧」(きぬた)は藤井徳三先生が地謡(たぶん地頭?)に参加されている。
単身赴任して近々かえるといいながら帰らなかった夫に疑いを抱いて病になって死ぬというなんともいえない物語。そんなことになるまえにおたがいでなんとかしなよ~;;、とおもいつつ。
もっぱら妻の寂しい・悲しい・恨めしいが主流になり、謡はおのずからじわじわ響くよう。
この、ありがちな設定や感情なんだけれど、テレビドラマみたいに安っぽく感情的にならないところが能のすごいところ。ものすごくおさえておさえてするなかに、マグマのどろどろしたようなものが見え隠れする。
それがかえって妖艶でもあり、おそろしい。
人間の本性や本音って、やっぱりぎゅうぎゅうおしかくしたり、つつみこんだりするからこそ、かえっていとおしくおもえたり、こころに響くものがあったりするんだとおもう。
あんまりあけすけだったり、あっけらかんとしていたら、深刻さが深刻さをうしなう。
後半は亡霊になった妻がでてくるんだけれど、
釣竿の細いくらいの竹の杖をこつり・こつりとついてでてくる。
それがまたこわい。
あのものすごく細い杖から、こつり。こつり。
あー。。。こわい。

ねんごろに弔われて成仏する、というのが能の設定の定番なんだけれど。
きっと「わかってほしい」なんだろうなぁ。とおもう。
そのおもいは、いまでも共通していること。


休憩を挟んで仕舞がつづく。
仕舞も一応どのような内容でどの物語を舞うのかを予習していった。
横から見ていると、それぞれに微妙なくせがあって興味深い。
おなじ型であっても、微妙にちがう。
角度やテンポや位置取りなど。
そして演じている内容によっても動きや歩みがちがう。
おもしろいなぁとおもう。


「葛城 大和舞」は、翁によくにている。
神楽の原型なんだとおもう。前半の緊張感がとても心地よかった。
山や自然のなかで舞うのはこんなふうにありたいものだなぁとおもった。


「三山」は、二人が舞うという興味深い演目。おふたりの対比がまた興味深かった。


「道成寺 赤頭・中之段数躙・無躙之崩」もはじめてみる演目。
4人がかりで大きな鐘がもちだされ、観客の前で竹ざおをもちいて吊るされる。
80キロほどもあるそうだ。
中の仕組みは秘密。
地謡が8名。
鐘の後見が5名。
後見が3名。
4名のお囃子にもそれぞれ後見がいるので、総勢20名ほどの男性が舞台上にひしめいていることになる。

興味深かったのは小鼓とシテ(舞手)のみの舞い。
シテは面(おもて)をつけているから、
小鼓の音をだすまえの紐をひく「しゅ」という音や、打ち手の吸う音を合図に足を微妙にうごかす。
微妙にというのは、常のうごきではなく、片足がつま先だちになったり、
かかとをつけて指先をあげたり、という動きをする。
そして小鼓の「は!」という声に凍りつくかのように、ぴたりとお互いが静止する。
その静止の時間はおそらく20~30秒くらい(もっと短いのかな)だとおもわれるが、
時空間がぎゅぅーっと濃縮されてゆく心地がする。これはびっくりした。
それがおそらく30分ほど、静止したり、すこし弛緩したりをくりかえす舞い。
観客のほうが、その緊張感にたえきれなくなり、パンフレットをとりおとしたり、咳払いをしたりと音をたててしまう。

そのあと急激に時間がまき戻されるかのような速いテンポの舞いになる。
そして鐘に飛び入る。
狂言方の二人がごろごろころがってびっくりするのがおもしろい。
鐘のなかでは後の段にそなえて、シテがひとりで着替え中。面もかつらもひとりでする。

衣や身に着けているものがほぼ三角の連続の鱗紋になって大蛇であることを表現している。
面はこわいかお。
そりゃ、でも、たわむれでも、「この方が将来のだんな様ですよ」といわれて
素直に信じちゃってたらしょうがないよなぁっておもう。
ずーーーっとおもいつづけて、「いつお嫁にしてもらえるんだろう」ってわくわくしてて、
もう年頃も過ぎそうになるころに、「そんなつもりじゃなかった~!」とか言われて、
「な。な。なにをいまさらーーー!!!」と激怒してもしょうがないやん。
かなしき純情かな。。。
結局はお坊さんたちの法力で追い払われて川に入るんだけれど。
やっぱり「わかってほしい」んやろうなぁっておもう。


なんで能にひきあわされたか、わかってきたようにおもう。
きっと現実のニュースではわたしにはつらすぎるから、
こういう昇華されたかたちでひとの念のありようをおしえていただいているんだろうとおもう。
そして、舞いと言葉で昇華し、寿ぐためにまなばせていただいているのだとおもう。





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by tsukisitau | 2011-02-06 20:16 | つれづれ帖*言葉の風景
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