先日の20日(日)には京都観世会館にて浦田保親浦声会大会の見学に参っておりました。
わかりやすくいえば能楽師の浦田保親さんのお社中さんがたの発表会プラスご縁のある方々の奉納演目というところでしょうか。
朝10時から開始。休憩なしで仕舞・素謡・お囃子と謡ありの舞囃子(仕舞のもっと長いバージョン)が夕6時過ぎまでつづきます。
脇席にて。
『橋弁慶』の素謡。
『橋弁慶』は謡のなかで二番目に習う演目です。いまわたしもまさに習っているところ。
おなじ観世流とはいえ、音の扱いが微妙に違うことにびっくりしました。
まず、違いがある、ということにびっくりした~!。
いままで観てきた舞台では違いに気がつかなかったですし、地謡は8名なのですが、それぞれに微妙に違う、ということもなかったので。
続いて仕舞がつづきます。
仕舞は能の演目のなかでも短い部分を(普通は)扇だけで舞うものです。
長くても2-3分くらいでしょうか。
ゆ~っくり謡う曲ならもうすこし長いですが、謡にあわせて舞う型がきまっています。
よくみていると謡の場面を動きや扇で表現しているのがわかります。
型はじつはそんなに多くなくて、基本型の組み合わせによって成り立っています。
それでも、その基本的な型がものすごく大事、だということが舞台をみていてよくわかります。
そして、どうしてこんなに短いのかともおもっていたのですが、きっと集中力が限界なのだろうとおもいます。
10月から習い始めて(月に2度)まだ最初の曲が仕上がらないのですが、
これが一番大事なんだとしみじみとおもったことです。
「次の曲にならないかな~」なんておもったりもしていたのですが、
いやいや、いまきちんと身に着けておかないと先にすすめば進むほどこわい、というのがよくよくわかりました。
舞囃子というのも10ほどあり、これには笛・鼓(大小)・太鼓・地謡が加わり、能の一部を舞うのがあります。
この舞囃子というのの怖さは、お囃子のリズムだけで5分近く舞わねばならないところです。
だいたい緊張が半ばから切れてくるので、ふっとどこまで舞っていたのかわからなくなっちゃうんでしょう。
よくおぼえていられるな~、というのと、舞台ってこわいな~と、おもったことです。
よくお稽古で「もっと大きな声がでます」といわれるのですが、なるほど、もっと大きな声でないと、お囃子の音に消えてしまうことが判明。
なるほど~・・・。
舞台を拝見していてつくづくおもったことは、
舞台は鏡であるということ。
これまでの修練・鍛錬も、現在・瞬間の気持ちのゆれ(それは動揺であったり緊張であったり、緊張が緩んだ瞬間であったりも含めて)が手にとるようにわかってしまう場所であるということ。
それは今回の舞台を拝見してはじめてわかりました。
こんなに見えてしまうものかと、恐ろしいおもいをしました。
また、それだけに能楽師の方々のすごさも、改めて感じ入ったことです。
全部で35ほどの演目、さまざまな演出であれ、すべての舞台に先生は謡をし、目配りしておられました。
当然謡いは全部暗記しておられるのです。
仕舞も舞囃子も。
能の演目は200弱ありますから、どれほどすごいことでしょう。
それができていてあたりまえ。
しかも、その道に入れば、終身、親子・親戚同然のお付き合いをみなさんとしてゆくことになります。
いやいや、おそろしい世界です。
また、緊張にも2種類あることを体感いたしました。
ひとつは、「はらはら」の緊張です。
微妙な演者の不安やしまった!すらもつたわってくるので、こちらにも緊張がつたわるのです。
これはかなりつらい。
なんにせよ、これをなくすために修練するのだなぁとつくづくかんじたことです。
もうひとつは、これまでの舞台でかんじてきた「のめりこむほどの集中」をもつ緊張です。
舞台の上に20人以上いようとも、演者の気配、演者の演じているものの気配だけを感じるほどに集中させるほどの緊張感をあたえつづける、ということがおこなわれている、ということです。
その緊張は心地よい集中なので、たとえ終日であってもここちよいのです。
陶然とするというか。。。
それはものすごく抑えた動きや謡でも表現されているので、すごいことです。
むしろ、勢いのある派手なものよりも難しいのかもしれません。
最後に子供さんたちの仕舞がありました。
子供さんにはすでにそなわっているものがあるので、いつもほほえましいのですが、
声も動きも扇の扱いもとても素直できれいでした。
また学生さんの仕舞もあり、
男の子がしていた仕舞は修羅物で立ち回りの激しい演目でしたが、
勢いあまってつるつる滑っているほどでしたが、それまた好もしくおもわれました。
まさに「初心わするるべからず」。
素直さと学んだままを保ち続けることの大切さをつくづくと感じたことでした。
浦田保親さま
ありがとうございました。
*よんでくださってありがとうございます*
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